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岐阜赤十字病院 眼科

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サージカルガイダンス導入

最近、白内障手術でトーリック眼内レンズ(乱視矯正眼内レンズ)を使用する機会が増えています。今までの検討から、術後の乱視が1D以上あると裸眼視力が1.0出る方の割合が減るため、当院では乱視がある程度ある方には積極的に乱視入り眼内レンズを使用しています。
この乱視つき眼内レンズは、患者さん毎に眼の中で固定する角度が異なるため、手術中に角度を分度器のような手術器具で計測して固定位置を調整していました。ただし当然手術中に患者さんの目も動きますので、微調整が難しい状況でした。
今回導入したサージカルガイダンスは術者の手術顕微鏡に眼内レンズの固定角度を表示するもので、手術しながら固定角度を確認することができます。
この下の写真が術者に見えている映像で、患者さんの名前(画像では消してあります)、固定角度が示されています。もちろん患者さんの目の動きに合わせて、追随するトラッキング機能ももっています。
最近はグーグル・グラスのように眼鏡型の情報端末のように実空間にいろいろな情報を表示する技術が日常にも入ろうとしていますが、手術の世界でも同様なことが起こっています。
今回のサージカルガイダンス導入により、乱視つき眼内レンズ固定の精度がより高くなったと思います。また多焦点乱視つき眼内レンズにおいてもより高いパフォーマンスを発揮するのではと思っています。
サージカルガイダンス導入_d0291713_19523296.jpg

# by gifuredcross | 2014-06-14 19:52 | 白内障手術

トーリック(乱視矯正)つき多焦点眼内レンズ手術開始

多焦点眼内レンズは白内障手術時にインプラントする付加価値眼内レンズの1つで、遠くにも近くにもピントが合うのが特徴です。しかし、乱視がある程度ある方は、このレンズのパフォーマンスを十分発揮できず適応にはなりませんでした。具体的に言いますと乱視が1D以上あると、術後に裸眼(眼鏡無し)での視力が1.0以上出づらくなってしまいますので、多焦点眼内レンズの対象となりませんでした。
最近発売された、新しい多焦点眼内レンズ、レストアマルチトーリック(アルコン社)は従来の多焦点設計はそのままで乱視矯正機能がついています。これによってもともと乱視がある方でも多焦点眼内レンズの手術が可能になりました。当院でもスタッフ勉強会を終えて、手術で使用する準備を整えています。今までコンタクトレンズで長い間過ごしてきて、白内障術後も出来るだけ眼鏡を使用したくないという方など、多焦点眼内レンズにご興味のある方は当院眼科外来までお問い合わせください。

レストアマルチフォーカル トーリック眼内レンズの外観
回折型に分類される多焦点眼内レンズで、レンズの周辺に3つの点々がついており、これを基準に乱視の軸を手術時に合わせていきます。
トーリック(乱視矯正)つき多焦点眼内レンズ手術開始_d0291713_19582389.jpg

# by gifuredcross | 2014-05-31 19:59 | 白内障手術

ICL手術体験談1

岐阜赤十字病院眼科にてICL手術を受けられた患者さんの体験談を頂きましたので掲載させていただきます。

両眼高度近視、19歳女性
手術前裸眼視力 右0.03 左0.03 両眼にHole ICLを埋植。
術後裸眼視力 右2.0 左2.0

Q:手術の際はどうでしたか(痛み、周りのスタッフ、医師の対応など)?
A:正直不安でしたが、看護士さんが手を握ってくれたため安心できました。先生は次に何をするか詳しく伝えてくれたので、心の準備が出来ました。

Q:手術後の見え方はどうですか?
A:数日は眩しく感じましたが、その後はすごくきれいに見えるようになりました。

Q:手術によってどのように生活が変わりましたか?
A:コンタクトレンズによってすぐに目が乾くことも無くなったし、眼鏡をかけなくてもよくなったため、目の事を気にすることがほとんど無くなりました。

Q:今後ICL手術を考えている患者さんへのアドバイスがあったら教えてください。
A:手術は不安だったり、術後は次の日までは目が開けにくかったけど、今となってはすごく楽で、受けて良かったと思っています。裸眼で生活することが、こんなに楽だとはびっくりしました。

Q:手術の満足度について教えてください。
A:100%です。

Q:ICL手術について不満な点、今後改善しほうが良い点がありましたら教えてください。
A:特にありません。

ICL手術体験談1_d0291713_2182314.jpg

# by gifuredcross | 2014-05-20 21:08 | 手術体験談

Hole ICL発売講演

本日はHole ICLの発売講演会に呼んで頂きまして講演をさせて頂きました。お題は「ICL患者への対応」です。今回はアカデミックな内容ではなく、ICL手術における患者さんへの説明方法などについて説明させて頂きました。ICLは御存知の方も多いと思いますが、レーシックなどと並ぶ屈折矯正手術の1つです。角膜を削ったりせず、薄いコンタクトレンズのような柔らかい素材のレンズを眼内に挿入する手術です。見え方の質がよい、強い近視や乱視の方にも対応出来るのが特徴で、今までは虹彩切除という術前に処置が必要であったのが、今回レンズに小さい穴が開いたHole ICLが認可になり、患者さんの負担が減り、さらに安全で確実な手術となりました。岐阜赤十字病院でも4月からHole ICL手術を開始しています。
Hole ICL発売講演_d0291713_21305080.jpg

# by gifuredcross | 2014-03-29 21:28 | 学術活動

甲状腺眼症(バセドウ病眼症)外来

甲状腺眼症とは、甲状腺ホルモンの異常によって起こる目の病気です。初期はまぶたの腫れで気づくことも多いですが、進行すると眼球突出や眼球を動かす筋肉に異常を来し、ものがダブって見える症状(複視)を起こしたり、眼球の奥の組織が腫れて視神経障害を起こし視力低下をきたすこともあります。現在岐阜赤十字病院眼科では、近藤奈津医師が中心となって甲状腺眼症の治療を行っています。ステロイドの局所治療や内科と連携したパルス治療、ボトックス治療などを行っています。検査としては患者さんの状態に応じて眼球運動障害の程度を調べるHessや、眼球を動かす筋肉の腫れ具合を調べるMRIなどを行います。また最近では甲状腺眼症活動性を示す抗体であるTSH刺激性レセプター抗体(TSAb)を測定し病気が安定しているかどうか(病気の活動性)を調べたりもします。
甲状腺眼症は発症から3〜5年までの間の活動性が高く、この間にどれだけ悪化させずにおくかがその後の経過に大きく影響します。このため、この間の治療が非常に重要になってくるわけです。治療の基本としては、まず炎症の程度の把握、そして消炎、最後に消炎後に残った障害に対しての治療という3段階で行っていきます。甲状腺眼症は眼科の中でも特殊な病気と捉えられがちで、なかなか専門的に検査・治療できる施設がありませんが、病気そのものは決して珍しいものではありません。当院では患者さんとよく話し合って、治療方針を決めていく方針をとっていますので甲状腺眼症でお悩みの方はお気軽に当院外来でご相談ください。(当院は完全予約制ですので、必ず事前に予約をしてから受診お願いします。)
# by gifuredcross | 2014-02-09 23:12 | 診療内容